[R18] 屋内回廊の窓は開かない
「こういうことは、ッひ、彼女作ってやれよ、あッ」 たっぷりと垂らしたローションを摺り込むように、窄まりへ指を滑らせる。扉は一見頑固そうだが、何倍も大きな異物を何度も受け入れた証がひくりとうずいている。少し力を入れればすんなりと熱い内部に招待された。そのまま道を辿れば、いつものスポットがいじりがいがありそうなほど主張する。 「そうだなあ、作りたいのは山々なんだけど、俺がいい人すぎるからかみんな遠慮しちゃうみたいなんだよなあ」 「ぅあっ、問題は、その性格だ!」 前立腺を優しく撫でていると、中はされてきたことを思い出すように締め付け、奥へ誘ってくる。どんどん解れていく内部を惜しむように俺は指を抜いた。 微かな抗議を耳に流しながら、俺はアヤタを貪欲に観察していた。アヤタは意地を張るかのように目を逸らし、しかし体は諦めた動物みたいにまるで逃げ場を求めることを止めてしまっていた。俺はその反応に満足すると、わざと遅い動きでアヤタの肢体を一つ一つ解きほぐしていった。 「なあ、アヤタ、お前はどうして俺にこんなに従順なんだ?」 「だって、お前が……勝手に決めてくるから……」 問いかけると、アヤタはやや苛ついた面持ちだったが、言葉は濁した。こいつは自分で選択することから距離を置いて、ただの幼馴染の友人に全てを任せることで責任逃れしている。かといって、俺はアヤタが自分に依存しているのが嫌なわけではない。むしろ、もっともっと求めてほしい。俺の肯定を、俺の存在そのものを。 アヤタの内ももを撫でながら、ゆっくり感覚を高めていく。ローションのぬめりが混じった感触に敏感に反応している。唇がわずかに開き、濡れ光ると陶酔するような呻き声が漏れた。その純粋な反応が俺の存在を認めてくれているようで、胸が震えた。 「なんか今日は特に感じてるよな」 「そんなことないから……ッ。気のせい、だ」 茶化しながらも、内心では反応一つ一つがたまらなく愛おしかった。アヤタはまた咎めるような目で俺を見つめるが、それもこちらには期待に見える。従順な身体を軽く転がし、アヤタの後ろに回り込んだ。染み付いたツッコミ癖がすかさず反射で返ってきた。 「黙って人を動かすなよ!せめて……せめて、一声掛けるとかしろよ」 「え、声掛けたら言うこと聞いてくれたのか?」 「動くぐらいはするから。……違う、灯影院が調子乗って変なことを要求するから拒否してるだけで、普通のことなら了承する。なのに、お前が一人で進めるから僕が振り回されてるんだろ」 「そうだな。アヤタは俺のものだもんな」 しなやかな髪を掻き分けながら、耳元で囁いた。その言葉にアヤタの身体が裏切るように跳ねたが、その動きはいつもの快感へと導いてくれることを理解しているはずだ。 俺はもう一度指を沈める。ひくりと迎えてくれるその感触を確かめながら、今日のアヤタは特に柔らかく、俺を待ちわびているようだった。無気力に流される態度とは裏腹に、その内側は渇望で溢れている。それを感じると同時に、承認欲求がじわじわ満たされていくようだった。 「ほら、アヤタ。もっと声を出せって。素直になったほうが楽だぞ」 アヤタが一声掛ければいいと言ったから、マナーを守ってお願いしてみる。それでも聞こえてくるのは枕でくぐもった声で、悪戯心が湧く。勢いよく引き抜いた指にも耐えるように息が溢れている。そっと近付くと、わざとらしく音を立ててうなじへ唇を落とす。 「おい、痕つけるなって…!」 俺はアヤタの抗議を聞き流した。アヤタがそう言うたびに支配欲がくすぐられる。いつもそ知らぬふりする肌を見ると、わからせたくて仕方なくなる。ある種の所有権の証として、鬱血痕は役に立つ。 「アヤタ、その言い方は誘ってるようにしか聞こえないな」 震える首筋に舌を這わせながら囁いた。触れた先で、少しだけ身体を硬直させる。そのリアクションを面白がりながら思う。どれだけそれを嫌がろうとも、俺がどうしても譲らない欲望があることを、アヤタはとっくに分かっているはずだ。 「自分のものには、自分の印が必要だと思わないか?」 そして、慣れた肌に軽く歯を立てる。アヤタが枕に顔を埋める姿を見て、俺は勝ち誇った。どれだけ恥じらっても、俺の行動は止められない――いや、止めるつもりはまったくない。 キスマークは一種の宣言だ。アヤタは俺を見ている。俺が触れる。俺に従う。そう、アヤタがどれだけ無気力で反抗的な態度を装おうとも、内心では俺を求めている。その事実を相手の皮膚に文字通り刻み込みたかった。俺は掌に太い脈を感じながら、食むように吸い付いた。柔らかな肉に血が透けて、鮮やかに留まる。 「うん、これでいい。大丈夫だって、普通にしてたら見えないから」 そのまま肩甲骨近くに唇を寄せ、もうひとつ新しいキスマークをつけた。小さく息を飲む音が響く。アヤタが躊躇いながらも愛撫を受け入れている姿は、自尊心を満足させるのに充分だった。